赤石岳~荒川三山 紅葉の南アルプス 1泊2日縦走登山

赤石岳~荒川三山 紅葉の南アルプス 1泊2日縦走登山

10月の3連休の土日を使って、 南アルプスの赤石岳~荒川三山を縦走してきました。

南アルプス南部の領域へ足を踏み入れるのは今回が初。北部の北岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳などと比べると、格段にアクセスが悪くてこれまで敬遠してたけど、お仲間さんのお誘いを受けて登ってきました。

登ってみた感想としては、、、とにかく過酷だった……。今年一番登らされたんじゃないかってくらい登りました。

現地に行くまでに色々と波乱があったり、樹林帯の急登に嫌気がさしたりもしたけど、森林限界を超えてからの展望、3000m級の山々を連ねる稜線はそれまでの苦労が一気に報われた瞬間でした。

間近にそびえる日本最高峰の富士山、朝焼けに浮かぶその姿は偉大で美しかった!

極限の疲労感と充実感を味わえた1泊2日の南アルプス縦走登山。冬を迎える前にしっかり歩く山旅ができて満足の2日間でした。

 

急登の果てに見た3000m峰の絶景―――

 


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南アルプス南部。一般的に塩見岳以南を指すこの領域は、僕にとってはまだ見ぬ未知の世界。

南アルプスの有名どころといえば、富士山に次ぐ日本第二の高峰、北岳を筆頭に、仙丈ヶ岳甲斐駒ヶ岳鳳凰三山あたり。これからは南アルプス北部の山々で、山梨県側からアタックするのが一般的。

反面、南部となると静岡県側の椹島あたりを基点に巡ることになるけど、これがアクセス難だったり色々とバスの制約があったりと、登山口へ向かうまでが北部とは比べ物にならないほど大変。。

興味はあったけど、なかなか登れずにいた南部。紆余曲折あって、この時期にこの領域へ挑戦することになったけど、時期もベストシーズンで結果的には最高の旅で終わることができました。

 

少々長くなるとは思うけど、1泊2日の行程を一気に書いてみる。

南アルプス南部への挑戦。

 

 

~~ 10/11,12 赤石岳~荒川三山縦走登山 ~~

【1日目】

10/11:椹島~東尾根~赤石岳~小赤石岳~荒川小屋

 

南アルプスでは初めての静岡側からのアタックということで、これまた登山ではおそらく初の東名高速を利用して新静岡ICへ。

ICから下道が長いけど、道中にはあまり店がないので、買い出しはIC近くのコンビニで済ませておいた方がいいです。

 

深夜4時の下道。まさきの快適な運転でウトウト寝落ちた最中、突然の「マジかっ!?!?」の一言で我に返る。

 

道の途中で止まっていたトラック。

嫌な予感がしたけど、その前方には……

 

落石の跡。落石して間もない感じだった。南アルプスはこれがよくあるんだよ……。

 

正直、これ見て「詰んだわ~~」とか思ったけど、片側一車線だけ何とか通れそうだったので、石をどかして何とか通過。

石をどかしただけなのに、何故か右の指を軽く負傷……。この負傷が後々の登山に響くことに……?!(なるわけはないがね)

 

どうにか詰まずに登山口手前の畑薙ダム臨時駐車場に到着。明るくなって撮った駐車場の写真はこんな感じ。かなり広いです。写真見て気づいたが、右手前に可愛い車が停まってるな(笑)

ここからバスに乗り換える必要があって、始発の便は8時半。明るくなるまで仮眠して単調を整える。何と言っても、今回は1日目に標高差2000mほどを登らなきゃいかんからね。

 

通常なら8時半が始発だけど、シーズン中は臨時便が出てくれて1時間前倒しの7時半発。

この東海フォレスト送迎バスっていうのが、登山口の椹島へ行ける唯一のアクセス手段であり、色々と制約が絡むバス。

まずこのバスに乗車するためには指定された山小屋のどれかに泊まらなければならず、テント泊もダメ。(テント泊の場合は確か追加料金を支払えば乗せてもらえる)。

まず行きでは3000円を支払い乗車。チケットを買う際、泊まる山小屋を伝える必要があります。次に山小屋で宿泊料金を支払うのだけど、ここで支払うのは3000円を引いた額。自分たちの場合だと荒川小屋に素泊まりで泊まったので、通常6000円のところを3000円出して泊まれる。そして、この山小屋で領収書をもらい、下山後に椹島で見せることで帰りのバスのチケットが手に入るというもの。

つまり、山小屋に泊まれさえすれば、山小屋の代金だけで往復のバス代が無料になるってこと。こう考えるとかなりお得でしょ!

さらに山小屋泊って割り切れるんで、重い荷物も持つ必要がないしね。

色々書いたけど、制約はあるものの意外とリーズナブルな仕組みになっているので、山小屋泊を割り切って行けば結構お得感ありますよ。

 

こうして意気揚々と椹島まで向かったものの、道中でまたアクシデント発生……

 

椹島に着く手前15分くらいのところで、いきなりバス車内に轟音。一番後ろの席から「落石だっ!!」の声。

何事かと思ってみてみるとさ……

 

窓ガラスが粉砕されてた…(ノ゚ο゚)ノ

落石恐るべし……。最後尾に座ってる人はたまたま窓側にザック置いてたから助かったけど、下手すりゃ大けが。

しかも、まさきは3列前の窓側に寄りかかって寝てたから、タイミング悪けりゃ大事件だったよ。。。誰もケガ人が出なかったから良かったけど、ヒヤヒヤしたわ。。

 

土砂崩れに落石と、色々大変に目には合ったけど、どうにか無事に8時半に椹島に到着。

 

南アルプス南部の登山基地となっている椹島。ロッジやレストランハウス、広いキャンプ場などがあって思ってた以上に立派な場所でした。上高地の縮小版みたいなイメージ。

ここで旅支度を整えて、9時ごろに出発。バスの制約があるので、どうしても1日目はこの時間からのスタートになってしまう。

 

鳥居の脇を通過して登山口へ。今回は椹島を基点に赤石岳~荒川三山を回る周回コースだけど、時計回りか反時計回りかで難易度が結構違ってくる。

 

僕たちは一般的だと思っていた時計回りを選択。この場合は1日目に赤石岳を目指すことになります。

登山口はこの階段。これ以降、いきなり急登が続くのでそれなりに覚悟しておいた方がいいです。

(ちなみに、逆回りだと距離は長くなるけど、緩やかな道もあるのでだいぶ楽。ハードな登りを一気に攻めるか、ゆっくりと登っていくか……、結構重要な分かれ目)

 

9時過ぎ、登山口をスタート!

目安として赤石小屋までの距離が1/5刻みで記されています。赤石小屋までは標高差1500m弱。ひたすら登り坂。

 

さらに言うと、一向に展望のきかない急登。これがずっと続く……。

 

1/5に到着したのが9時20分。0/5から20分程度だけど、いきなり登らされたので早くも息が上がる…。

ただ幸い荷物も軽めなので、標準CTよりは早めのペース。(というか、コースタイムを巻いて行かないと目的地の荒川小屋までたどり着けない)

 

ここから先も展望なしの樹林帯が続くので、間は省略。2/5に着いたのが10時ごろ。

 

10:20、樺段という場所に到着。赤石小屋までの中間地点。地図上に載っているこの手前のヘアピンカーブというのがどれのことなのかは良くわからなかった。とにかく同じような樹林帯をひたすら登るので、高度感がまるでない。

 

まだまだ続く急登。たまにこういう平坦なところが出てくれると助かるけど、確かこの辺りで天敵のヘビに遭遇して一気にテンション下がった気が……。

 

10:45、3/5地点に到着。今歩いている登山道は大倉尾根。大倉尾根といえば丹沢の”バカ尾根”を思い出すけど、こっちの方がはるかにバカだよ(笑)。登り応えありすぎ。

こういう風に目盛り刻んでおいてくれないと、チェックポイントらしきものが何もない。

 

標高を上げていると感じられる唯一の目印が紅葉か。登るにつれて、見上げれば色づいた葉っぱが増えてくる。

 

11:20、4/5。ここら辺まで来ると、もう笑うしかないな(笑)。疲れもあるけど、ここまで一向に展望の効かない道が続くと、逆に意地でも登ってやろうって気になるわ。

辛いけど、まぁ、これがある意味南アルプスらしさでもあるか。

 

11:40、大倉尾根の最後の関門「歩荷返し」に到着。ここから20分ほど、小屋までの最後の急登を強いられる。

歩荷さえ返り討ちにするほどってどんなもんよ……。

 

…………

なかなかエグかった。見上げるほどの急坂だったけど、ひたすら登らされてここにいるので、何を今さら…っていう感じもした。

風が通らないので、10月なのに体感的には夏の登山。水の消耗がやたら激しかった。

 

歩荷返しを制覇したところで、赤石小屋からの黄色い声援。ここまできて、ようやく一息つける。

 

赤石小屋までもう少し。標高2500mを越えてるはずなのに、いまだに高い樹が周りを覆う。

一般的に北アルプスの森林限界が2400mなのに対して、南アルプスは2700m。北アルプスに比べて圧倒的に少ない積雪量が、この差を生む。

 

12:20、登山開始して3時間半で赤石小屋に到着。標準だと5時間15分ほどだから、だいぶ巻けた。途中途中でしっかり休憩挟んだから、もう少し頑張れば3時間くらいで来れるかも。

この3連休で営業終了する赤石小屋。小屋閉めの準備をしてました。

 

5/5地点。ここでようやく赤石岳がはっきりと見えたんだけども……。

でかっ!!!

 

これだけ登ってきて、まだ見上げるほどの高さにある赤石岳。標高3120mの山は伊達じゃないと思った。これほど圧倒的な高さを感じたのは初めてかもしれない。

 

でかい圧倒的な山容の赤石岳。標高3120mは日本第7位の高峰。

そして赤石山脈と名が付けられてる通り、南アルプス(赤石山脈)の主峰とも言える山。

 

山の圧倒的な存在感と同じくらい目を引いたのが、標高2500m地点に広がる紅葉。

南アルプスの紅葉はあまりリサーチしてなかったけど、黄色メインの紅葉(黄葉)は素晴らしく綺麗でした。小屋の人に聞いたら、これでも台風でだいぶ散ってしまったそうなので、ピーク時はもっとすごいんだとか。

 

山小屋のベンチでお昼休憩して、12:50に行動再開。赤石岳は見えたけど、山頂まではまだ標高差600m、標準CTで3時間半の道のり。

 

ただ、ここから先は紅葉が綺麗で歩いていても気分が良かったし、何よりあと数百m登れば森林限界を迎える。

 

小屋を出発して30分ほどで、視界がだいぶ開けてきた。

 

スタートから4時間半経過で、ようやく森林限界。赤石岳と小赤石岳を結ぶ稜線を一望。

 

北側には翌日登る予定の荒川三山。右の高い山が荒川三山の主峰、荒川東岳。別名、悪沢岳。残り2つがわかりづらいけど、稜線の左にある小高い2つの丘が前岳と中岳。あの2つは15分ほどで行き来可能。

 

13時20分、富士見平に到着。山頂はまだ遠いけど、ここは本日の行程の1つのピーク。

 

その名の通り、後ろを振り返れば正面に富士山の展望!!ちょうど真東に富士山があるので、南アルプスの中でも位置的にかなり近い展望台。

久しぶりにこれほど大きな富士の眺めを堪能できたぜ!

 

ようやく贅沢な展望にありつけて、南アルプスに来たんだって実感した。(それまでは奥多摩を歩いているのと大して変わらないんだもんな…)

 

ここから先はラクダの背と呼ばれる痩せ尾根の脇をトラバースしていく。

こんな感じで梯子が設置。足場はかなりしっかりしてました。

 

稜線へ登り詰める取りつき地点まで横移動。谷側は崖になっているので通過の際はご注意を。

 

少しだけ黒部峡谷の下ノ廊下を思わせた道でした。

 

トラバースを終えて、稜線まで一気に登りつめる。ここが赤石岳までの最後の難関。

 

目の前の稜線。そこまで一気に登るんだけど、見えているのに全然近づいてる感じがしない。。。

序盤の樹林帯以上に、今回のルートでは一番疲れたポイントでした。早く稜線に出て楽になりたいぜ…

 

振り返るとこんな感じの急な斜面。標高差1500m以上登ってきてから、さらに追い打ちをかけるこの急登は……えげつないな。。

 

ただ、ここでうれしい出会いも。

南アルプスには少し珍しい、ウポウポ君のご登場!

 

ハイマツ帯にいた2匹の雷鳥。冬を前にお腹のあたりが白くなりかけてました。

見るたびに、このふっくらしたお腹をプニプニ突いてみたくなる。

 

雷鳥にも出会て、体力少し回復。さらに上へ。

見えてる稜線、、、なのになかなかたどり着かない。。ここの攻略は本当に疲れたわぃ…。

それでも、もう間もなく標高は3000m超え。

 

そして、15時。ようやく稜線に出る\(^o^)/

 

稜線の向こう側は長野県。素晴らしい開放感と達成感!!

登り続けて6時間、ようやくここまで来たよ。

 

赤石岳までもあと少し。この最後の坂を登り切れば山頂。

 

ラスト頑張って登りまっせ!

北側の展望も絶景!若干霞んでいるけど、荒川三山を筆頭に南アルプスの名峰を眺めることができました。

 

15時20分、何とか無事に赤石岳山頂に到着!!

お疲れ様でした。本当にお疲れさまでした、自分!

標高3120mは今年登った山の中では一番の高さ。標高差もおそらく今年1番だったと思う。久しぶりに全力で頑張ったよ…。

立派な標柱。その背後にうっすらと浮かぶ富士山。

 

今回は行かないけれど、聖岳へ至る稜線。途中までは緩やかな稜線で楽しそうだけど、そのあと道が見えないので、おそらく相当なアップダウンが待っていそう。

 

メインの展望はやっぱりこっち。右を静岡県、左を長野県に隔てるこの3000m級の稜線。その先には明日登る予定の荒川三山。さらに荒川三山の中央奥に見える高い山が北岳、間ノ岳、農鳥岳の白根三山。

見えるほとんどのピークが3000mを超える高さ。南アルプスの山はやっぱりでかいよ。

 

山頂のすぐそばに建つ赤石岳避難小屋。避難小屋と言っても、シーズン中は予約が必要で素泊まりでも5500円かかります。この時期はすでに営業終了。無人の避難小屋となってました。

奥に柱が見えるけど、あちらにも赤石岳の山頂を示す標柱がありました。

 

こんな感じで。時間があれば寄ってみてください。

3連休なのに貸切だった赤石岳山頂。最高だったけど、写真撮る姿はみんな結構疲れてた(笑)

 

15時を過ぎてしまったので、若干急ぎ気味で荒川小屋を目指す。

赤石岳からはまだ2時間ほどの道のり。稜線を北へ進んで行く。だいぶ疲れてるけど、標高差2000mを登り切ってからのご褒美の稜線ハイクはやっぱり最高です!

 

赤石岳隣の小赤石岳。稜線の途中にある小さいピーク。

ここでもまた珍しい出会いが…!?

 

これから歩く予定の稜線の先に、黒い動物の影……。

熊じゃないよな!?と思ってよく見てみたら、、、

 

カモシカだった。

3000mの稜線に現れたカモシカの姿、どこか神がかってカッコよかった。彼もよくここまで登って来たもんやね。

向こうもこっちが気になるらしく、ずっと立ち止まって見られてた。

 

さらに先へ。カモシカもいつの間にかいなくなり、静かな稜線を歩いて行く。

陽もだいぶ西に傾いてきた。

 

この時間帯の空の色の変化がまたいい。

風もほとんどなくて穏やかな陽気。

 

稜線途中に突然開けた場所。ここが大聖寺平。

神に祈りをささげる場所なのかはわからないけど…

 

雲の合間から降り注ぐ光が神々しかった。

 

大聖寺平も過ぎて、稜線をそれてトラバースルートを歩いて行く。

だいぶ暗くなっちまったわ。。

 

17時半、荒川小屋に到着。(到着がだいぶ遅れてゴメンナサイ…)。

今夜はここに宿泊。素泊まり6000円だけど、行きで乗ったバスのチケットを見せると3000円になります。小屋は3連休とは思えないほど空いていて、1人で2人分のスペース使えました。

水場は小屋から5分ほど歩くけど、水量も豊富。テント場は3,4張りしか張ってなかったかな。

 

ここの山小屋は食堂が街中のお店みたいに綺麗な造りで、自炊もそこでしていいと言われたので20時まで飲んだっくれた。

このキリンのオフホワイトっていう発泡酒、フルーティーでとってもおいしいよ。(※キリンの回し者ではない)

 

スタートが9時で到着が17時半だったから、1日目は8時間半の行程。時間的にはそこまでの長丁場ではなかったけど、標高差がとにかくあったのでかなり疲れた。。。スタートをもう少し早められたらいいんだけど、バスの始発がこの時刻なので、こればかりはどうしようもない。

1日で一気に荒川小屋まで来る場合は、多少なりとも巻く必要があるけど、歩いた感じでは地図に載ってるコースタイムは若干甘めな気がしました。それでもかなり疲れるので、同じルート取る方は頑張ってください!

 

こうして1日目が終了。2日目は赤石岳よりもさらに標高が高い荒川岳(悪沢岳)へ。

 

2日目も頑張るぜ!!!

 

ってことで、1日目が終わり。

 

記事を分けようかと思ったけど、面倒なのでこのまま2日目へ。

まだまだ続く南アルプス縦走記録。

 

【2日目】

10/12:荒川小屋~前岳~中岳~荒川岳(悪沢岳)~千枚岳~千枚小屋~椹島

 

夜明け前の3時半に起床。小屋泊は起床から出発までの準備が楽なのでいいね。

帰りは椹島から14時発のバスに乗らないといけないので、早めに行動。4時過ぎには同室の人たちも出発していて空っぽになった。

 

まだ夜明け前の道をヘッデンつけて登っていく。小屋から荒川三山の稜線までは1時間半ほどの登り坂だけど、見た目よりは急登ではなくて登りやすい道でした。

荒川岳の岩稜から漏れる月明かり、まさきが撮ったナイスな写真。星空が綺麗でした。

 

この時期のご来光は5時40分ごろ。5時過ぎにようやく明るくなってきて、雲海の果てに富士のシルエットが綺麗に浮かび上がる。

朝と夜が共存するこの時間帯の空の変化も、またいい。この景色は山に登らなきゃ絶対に見れないもんだからね。

 

1時間ほどで稜線に出て、まずは荒川三山の1つ、前岳へ。

 

5:40、標高3068mの前岳に到着。赤石岳と同じ作りの立派な標識。

 

誰もいない広い山頂。3連休とは思えない静けさ…。

ちょうどご来光の時間だったので、ここで太陽が昇るのを待つことに。

 

そして、ここからの空の変化が神がかって美しかった……!

 

 

黄金色に染まる空とはこのことだな。

そう思えるほど、鮮やかに染まる朝焼けの空。富士の姿も凛々しく、本当に感動の光景でした。「すげーーーっ!!」って言葉しか出てこない。

 

富士山の背面が明るくなってきたし、まさかのまさかでダイヤモンド富士なんて見れるんじゃないの!?!?

って仲間と浮かれてたけど、、、

 

思った以上に外れたところからご来光。。(ありゃ…)

申し訳なさそうにヒョッコリ顔を出した太陽に、逆に申し訳なくなった…(笑)

それでも十分綺麗。雲海が敷き詰められてて、海岸線から昇る太陽にさえ見える。

 

太陽に照らされて赤く染まる稜線と山脈。すぐ目の前が中岳、右奥が荒川三山の主峰、悪沢岳。

 

日本の風景と感じさせる富士山とご来光!本当に素晴らしい景色でしたよ。

この富士の風景が南アルプスの特権だと思う。北アルプスじゃここまで綺麗な富士の姿は見れないからね。

 

前日に登った赤石岳。

 

眼下のカールもまた太陽に染まって良い眺め。

 

前岳でかなり時間をつぶして、お隣の中岳へ。この日も朝からかなりの暖かさで、半袖にパーカー羽織る程度で十分。

 

前岳から10分ほどで中岳に到着。標高3083m、前岳より15mほど高い山。

そして、周囲を見渡してみて、、、目に入ったあの山。

 

西側、太陽が昇るにつれて鮮明に見えてきた中央アルプスの山群。そして、その奥に

 

先月噴火した御嶽山。前日も赤石岳の稜線から見えてはいたけど、空気が澄んでるこの時が一番鮮明に見えた。噴煙はもちろん、山が灰色になっている姿まで見て取れた。

色んな思いが頭をよぎったな……。

 

すぐ近く、雲海に浮かぶ富士山。あの山だっていつ噴火するかわからない火山の1つ。

山に対する意識も少し変わったと思う…。

 

色んな事を考え、お互い話し合いながら仲間と一緒に先へ進む。

 

山頂のすぐ近くにある中岳避難小屋。赤石岳避難小屋同様、しっかりとした造りでとても綺麗でした。

ここもシーズン中に泊まる場合は予約と宿泊料金が必要。

 

荒川三山の3つ目、主峰の悪沢岳へ。山頂まではご覧のような登り返し。

 

下りきったコルから見上げる悪沢岳。赤石岳も大きかったけど、この山もまた圧倒されるほどの大きさ。

 

下から見るとその存在感が際立つ。最初はジグザグに登っていって、後半は岩場になる。

 

この岩場がまた急だけど、危険な感じはしなかったな。2日目は体力的にもかなり余裕あり。

 

悪沢岳の途中の岩場から見た中岳。この山もまた圧倒される大きさ。

ずっしりと構える山容も、南アルプスの特徴だと思う。

 

岩場も越えて山頂へ。目の前に見えるのもそうだけど、悪沢岳まではいくつかニセピークがあったな。

 

7時15分、悪沢岳に到着。標高3141mは日本第6位の高峰。南アルプスの南部領域では最高峰の山。

 

勝利のポーズはまさき先生。日本にある3000m峰の山、計21座。彼は残すところあと2つらしい。

僕は岩場苦手で奥穂高周辺は全く登ってないので、たぶん半分くらい残ってる…。いつか制覇してみたいとは思うんだがね、、、

 

悪沢岳からの南アルプス北部の展望。正面に白根三山、左手前が塩見岳、その背後に仙丈ヶ岳甲斐駒ヶ岳、さらに右奥に鳳凰三山・地蔵岳のオベリスクも見えました。

名峰揃いだけど、北アルプスと違って1つ1つの山が綺麗に稜線で結ばれているわけではないから、なかなか縦走ってしづらいんだよね。いまだに南アルプスでテント背負って山を歩いたことないし。

 

そういう意味では、今回の縦走は山小屋泊ではあるけど、今までで一番南アルプスを堪能している気がする。登山口から一気に標高差2000mを登るなんてこれまで経験がなかっただろうし、こんな感じで富士山を間近に感じながら稜線歩きを楽しめてるからね。

北アルプスに比べると地味な印象の南アルプスだけど、こういう山深い雰囲気も好きです。

 

悪沢岳も登り切って、ここからは下山路。稜線を突っ切って千枚岳方面へ歩いていく。

山頂直下はこんな感じのガレ場。

 

南アルプス南部のいいところが、とにかく人が少ない。悪沢岳に数名他の登山客がいた程度で、他のピークでは独占状態。

アクセス難だけど、静かな山歩きを楽しみたいなら打ってつけの山域だと思う。

 

岩場を過ぎると、こんな感じの穏やかな稜線。もう何度も言ってるけど、こういう平和な稜線が大好きなのさ~

特に今回の縦走路は稜線に出るまでが大変だったし、稜線に出てからもアップダウンが多かったから、ここは貴重な時間だったな。

 

富士の展望を眺めながらの3000m超えの空中散歩。

 

稜線の途中にある広い穏やかな山頂は丸山。富士山の展望抜群。

地図には小さくしか載ってないけど、ここもまたいいお山でした。

 

ここからは高度を徐々に下げていく。ここら辺からチラホラ登ってくる人とすれ違ったけど、それでも数人程度。本当に静かな山域。

 

標高を下げていくと、また紅葉が目についてくる。写真では伝わりにくいけど、黄色く染まる山肌が本当に綺麗でした。

この紅葉は想定外。すっかり終わってると思ってたもんな。

 

 

今回の縦走路のラストピーク、千枚岳。悪沢岳以上に岩々しい山。

 

 

岩壁を登っていく。登る分には特に問題ないけど下るときは少し気を付けたほうがいいかも。鎖とかロープは確かなかった気がする。

ルート上で核心部と言えるのはここくらい。他は危険箇所なんてなし。ただ疲れるだけ!

 

8時20分、千枚岳山頂に到着。標高2880m。

気づいたと思うけど、ここら辺の山頂は全てこの立派な標柱デザインで統一されてる。山名を刻む字体がカッコええな。

 

千枚岳も360℃の展望が見渡せるけど、谷を挟んで対面する赤石岳の展望が特に素晴らしかった。眼下の紅葉も見事。

 

こうして予定通り全てのピークを登り終えて下山。

 

千枚岳を過ぎると間もなく樹林帯へ戻っていく。森林限界が高いから、展望がなくなるのもあっという間。

だから余計に、登り切った後の束の間の稜線が天国に感じるんだな。

 

千枚岳から15分ほどで千枚小屋に到着。ここもそうだけど、今回のルート上にあったいずれの山小屋も避難小屋も造りが本当に綺麗。

南アルプスの山小屋はどこか古臭いイメージがあったけど、全然そんなことはなかった。水も豊富に流れてました。

 

ここから椹島までは標準タイムで5時間弱。まだ先は長いので、軽く休んで9時に出発。

 

登りの赤石小屋までの目印があったように、こちらにもこんな感じでルート上にチェックポイントの標識がありました。

 

下山路も単調な樹林帯なので、ここは省略。

書くべきこととしては、登りの急登が嘘なくらい平坦で歩きやすい道でした。その分距離は多少長いのだろうけど、登りに比べたら格段に楽な道のり。今回みたいに椹島基点に周回する場合は、僕たちとは逆の反時計周りで歩いたほうが楽だと思います。

途中ですれ違ったおじさんからもそんなこと言われた。つらい方から登ってご苦労様ですと…

 

登山口の近くにある吊り橋。3時間以上歩きっぱなしだったけど、これが見えたらほぼゴール。(一気にワープしてるけど、実際歩くとかなり長いのでお気をつけて)

 

ラストは渓谷の脇を歩いて行く。ここもどことなく黒部峡谷の下ノ廊下に似てた。

 

12時半に椹島に無事に帰還。充実したロッジや売店もあるのに、相変わらず人気が少ない登山基地。静かなのはいいことです!

レストランハウスで山小屋でもらった領収書を見せると、帰りのバスの整理券をもらえます。この整理券の番号順にバスに乗車できるので、早めについておいて損はないですぜ。

 

14時のバスまで時間があったので、お昼ご飯食べたり昼寝したり、売店で地酒買ったりして時間つぶした。

中でも面白かったのが、レストランハウスに置いてあった1970年代の山と渓谷の雑誌。昔の装備品などを見れて、思わず見入ってしまったよ。僕が生まれる前の時代だからね~。完全防水とか書かれてたけど、当時の完全防水はどの程度のものだったんだろうか…。

 

こうして14時のバスに乗車して15時過ぎに畑薙ダム駐車場に戻ってきました。帰りは落石でバスの窓ガラスがぶち割れるなんてこともなかったのでご安心を!

下山届を出して、畑薙ダムを後に……

 

下山後の温泉は駐車場から15分くらい下ったところにあった赤石温泉「白樺荘」。綺麗で露天風呂もあって良い温泉でした。露天の湯温はかなりぬるめで長湯するにはちょうどいい。

 

せっかく静岡県まで来たし、沼津も通るのでラストは海鮮丼で締め。

山も温泉も食も楽しめた、充実した1泊2日の旅でした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今回もだいぶ長くなってしまったけど、南アルプス南部という初の領域は、やっぱり期待もモチベーションもかなり高かった。だからこそ序盤の急登も登り切れたし、疲労感よりも充実感が得られたってもんよ。

 

1つ1つの山が単独峰のようにどっしりと構えるその姿は、北アルプスとはまるで違う様相でした。

ただ、このルートを知ってしまった以上、もう同じルートを登りたいとは思えないかな(笑)

この稜線に出るまでが本当に大変。過酷な登りを耐えたからこそ、この束の間の稜線が天国に感じるんだろうけどもね。やっぱり辛かったよ。。。

1泊2日だと若干、強行スケジュールにもなるので2泊3日にするのもありかと。それだとかなり余裕を持って登れるけど、逆に時間が有り余ってしまうかもしれないのが難しいところ…。

 

今回の旅では、やっぱり2日目の朝のご来光が一番印象に残った風景でした。富士山とご来光のセットは、日本を象徴する風景。これを標高3000m超えから堪能できるんだから、やっぱり頑張って登る甲斐はあるってもんです。

富士山との間に敷き詰められた雲海も素晴らしかったです。雲の上に立つってのは、何度経験しても気分がいいよ!

 

南アルプス南部、バス乗車のための山小屋泊という制約があったりもするけど、良く調べてみると意外とコスパも良い仕組みになっているので、ぜひ機会があれば登ってみてください。6000円で山小屋泊と往復2時間のバス代が含まれているのはどう考えてもお得すぎます。

 

10月のこの時期であれば空いているってことがわかったので、来年の同時期にもまた南アルプス南部へ足を踏み入れようかと考え中。紅葉も予想以上に綺麗だったので、十分の紅葉登山の候補にも入れられるな。

 

9月の北アルプス大縦走に続いて、10月は南アルプス縦走を成し遂げられて満足しとります!

ここから先は高い山では雪が降り始めるので、日帰り登山がメインになってくるかと思います。…というか、この記事を書いてる時点で、すでに2回ほど日帰り登山を終えているので、気が向いたらまた記事アップします。

 

ひとまず、南アルプス登山記録はここまで。長々と読んで頂きありがとうございましたm(__)m

 

一緒に登ってくれたまさき、岳、ありがとう!!秋の南アルプス縦走、また1つ良い思い出になりました。

 

おしまい

 

 

【日程】

2014年10月11日~12日

【コースタイム】

・1日目 晴れ時々曇り

畑薙第一ダム夏季臨時駐車場(7:30 バス発) — 椹島(8:00) — 登山開始(8:50) — 樺段(10:20) — 赤石小屋(12:20) — 富士見平(13:20) — 赤石岳(15:20) — 小赤石岳(16:15) — 荒川小屋(17:30)

・2日目 晴れ

荒川小屋(4:30) — 荒川前岳(5:40) — 荒川中岳(6:00) — 荒川東岳(悪沢岳)(7:15) — 千枚岳(8:20) — 千枚小屋(8:45) — 椹島(12:30)

 

 

 

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